「改善提案」は、作品の感情の流れを典型的な感情の型と比べ、型から大きく離れている箇所と、その直し方を示す機能です。比べるときに、DTW(動的時間伸縮法)という手法で「類似度」を計算しています。
類似度(DTW)とは
DTW(Dynamic Time Warping)は、時間とともに変わるデータどうしを、多少のずれを許しながら比べて、どれくらい似ているかを調べる手法です。STORYAIでは、作品の感情の流れ(グラフの「感情平均」)を、6つの典型的な感情の型と比べます。
この結果をもとに、作品の感情の流れを型に近づけるための改善提案を作ります。どの範囲を直すとよいか、どう直すとよいかを文章で示します。
6つの典型的な感情の型
| 型 | 特徴 | 流れ |
|---|---|---|
| 貧困から富へ(Rags to Riches) | 成り上がり | 徐々に上がる |
| 穴に落ちた男(Man in a Hole) | どん底からの復活 | 下がってから上がる |
| シンデレラ(Cinderella) | 苦境から幸福への飛躍 | 上がる→下がる→大きく上がる |
| イカロス(Icarus) | 成功からの転落 | 上がってから下がる |
| オイディプス(Oedipus) | 希望と絶望の繰り返し | 下がる→上がる→下がる |
| 悲劇(Tragedy) | 転落 | 徐々に下がる |
作品に最も近い型は、評価項目の「グラフ相関」と、グラフの「相関グラフ」で確かめられます。型の詳しい説明は「グラフ相関の評価に用いる感情のアークについて」をご覧ください。
改善提案の場所
- 左メニューの「作品一覧」(ビジネス表示では「分析一覧」)から作品を開きます。
- 「作品分析」(ビジネス表示では「分析」)の「分析結果」を表示します。
- 感情のグラフの下に「改善提案」があります。
章が1つしかない作品や単体分析の作品には「作品分析」がないため、改善提案もありません。
広告・会議などビジネス系のカテゴリー・ジャンルの作品でも、改善提案の文は表示されません。改善提案は物語の型とのずれから作るためです。同じ場所の枠は見出しが「構造(フレイタグ)」になり、区間ごとの本文とフレイタグの段階の判定だけが使えます。
改善提案の見方
- 提案には番号が付き、直すとよい範囲ごとに並びます。
- 「修正点のみ」では改善提案の文だけを、「すべて」では対象の本文(動画や画像の作品ではフレーム、音声の作品では音声)も合わせて表示します。
- 「改善提案の検索」に言葉を入れると、提案を絞り込めます。
- 提案を押すと、グラフ上でその範囲が強調されます。どこを直せばよいかをグラフで確かめられます。
- 長い提案は「続きを読む」で全文を表示できます。
各提案がフレイタグの5段階構造(提示部・上昇展開・クライマックス・下降展開・大団円)のどこにあたるかをAIで判定することもできます。「改善提案をフレイタグ構造で読む」をご覧ください。
改善提案が表示されないとき
改善提案の機能ができる前に分析した作品には、改善提案が表示されません。その場合は、作品を分析し直します。
- 作品詳細の右上の「再分析する」を押します。
- 「追加自然言語分析のみを再分析する」にはチェックを入れずに、「再分析する」を押します。
- 分析が終わると、改善提案が表示されます。
作品の作成者と、プロジェクトの Manager・Editor が再分析できます。詳しくは「再解析機能のご紹介」をご覧ください。
直した後に確かめる
改善提案を参考に原稿を直したら、「新しい版を追加」で分析し、元の版と比べます。手順は「他の版との比較方法を教えて下さい」をご覧ください。
活用のヒント
- 直す箇所がはっきりする: 感情の流れの課題がグラフで見えるので、どこを直すべきかが一目でわかります。
- 直し方の手がかりになる: 範囲ごとに具体的な提案が出るので、推敲の方針を立てやすくなります。
- 型に近づけて確かめる: 直した版を比べて、狙った流れに近づいたかを確かめられます。
開発の背景
DTWの手法を使ったこの改善提案機能は、武蔵野大学データサイエンス学部の学生によるアイデアをもとに開発されました。
ジール、武蔵野⼤学データサイエンス学部との長期有償インターンシップの成果報告会を実施
参考文献:仲程 凜太朗, 岡田龍太郎, 中西 崇文, Story Signature:ストーリー展開特徴抽出による 類似小説検索可視化方式の実現, 第12回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム, DEIM Forum 2020 A7-3, 2020. https://proceedings-of-deim.github.io/DEIM2020/papers/A7-3.pdf