クリエイティブディレクション講座 8回目 1月30日
「マグニチュードをあげるクリエイティブディレクション」
高橋 律仁氏
TBWA HAKUHODO
Creative Director/Copywriter
▼経歴
博報堂入社後、TBWA HAKUHODOへ。メディア×ソーシャルインサイトを活かした統合型コミュニケーションを展開。DJとして楽曲プロデュースも手がける。カンヌライオンズゴールド、アドフェストグランプリ受賞。2017年クリエイターオブザイヤー・メダリスト。
▼講義の内容
- 5W1Hの発想
- Z世代に拡散されるポイント
- おわりに
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▼1. 5W1Hの発想
まず、冒頭でアイデアは良いけど、予算が足りない、時間がない、メディアの制約がある…そんな状況で打開策となるのが「5W1H」の発想とのことでした。どの要素をどう活かせば、アイデアが広がり、拡散されるのでしょうか?
▼WHEN:世の中が盛り上がるタイミングを活用
カレンダーやイベントには、話題を生み出すヒントが詰まっています。例えば、PRプランナーが活用する「Xのモーメントカレンダー(無料)」を参考にすると、適切なタイミングを見極めやすくなります。
世の中が盛り上がるタイミングを活用した事例としては「KFC × ネイマール」。ロシアワールドカップ時に、ピッチ上でよく転がるネイマール選手の行動を活用して、転がりながらネイマール選手が最終的にKFCの店舗にたどり着くCMがありました。
WHENはブランドにとって最高の機会。まだ誰も活かしたことのないタイミングを捉え、突発的なニュースに乗っかることもポイントになります。
▼WHERE:最も感情が高ぶる場所を狙う
広告として人気である渋谷駅前のビッグビジョンだけが正解ではありません。ターゲットが本当に熱狂する場所を見極め、メディア選定を工夫する必要があります。
事例としては以下のものがありました。
- アディダス×オリンピック:OOH(屋外広告)ではなく、柔道の阿部一二三選手・阿部詩選手の聖地(母校や商店街)を作り、話題化。
- 天気の子:バスのガラスに雨粒の特殊シートを使用し、映画の世界観を演出。
ビックビジョンやゴールデンタイムだけが場所じゃない。ターゲットの感情が高まる場所を狙い撃ちすれば、素通りされないとのことでした。
▼WHO:ターゲット(クラスター)を見極める
F1層(20〜34歳女性)など、特定のファンやオタク、マニアをクラスターとして活用するお話もありました。例えば、「マクドナルドの数学クラスター戦略」。マクドナルドでパイのクーポンを配布するにあたり、パイ好きはもちろんだが「パイ=π」とし数学愛好家に向けてπだけでできる問題をツイートし、正解は81(パイ)になるSNSで出題し話題を呼びました。
存在はしているが顕在化していない。クラスターを見つければ所属する人々は喜ぶその心理を活用しています。
▼WHAT:企画を一瞬で伝えるタイトル
アイデアはシンプルかつインパクトのあるタイトルで伝わるべきです。
以下の事例をご提示頂きました。
- 絶メシリスト(高崎):廃れつつある絶品料理の店をリスト化。
- 注文を間違える料理店:認知症の方が店員を務める、寛容な社会を目指すプロジェクト。
やっていることとタイトルが一致しているため分かりやすく、脳への伝達速度が圧倒的に速く、伝わりやすいメッセージになります。
▼WHY:企画の意義を確立する
ただ美味しい・かっこいいだけでは商品が存在意義を持ちにくい。社会的な意義を加えることでブランド価値を高めます。
例えば、ホタテの廃棄貝殻をリサイクルしてヘルメットにしている「ほためっと」やタレントのあのちゃんを起用したマクドナルドCMでは「スマイル0円」が時代遅れだと指摘し、「スマイルあげない」とし、Z世代のマッククルーリクルーティングを実施しました。
▼HOW:アイデアを化けさせる手法
新たな手法を取り入れることで、アイデアのインパクトを高めます。何か一つでも新しい手法を入れれば、化けていきます。
例えば、最近ではスマホでの視聴が主流になっていることから、縦型動画の活用が注目されています。特に、縦型専用のミュージックビデオや、料理動画を上から撮影して臨場感を演出する手法が人気を集めています。
また、AIを活用した話題作りも効果的です。例えば、BMWの海外企画では、AIにカーレーサーを選ばせたところ、全員が男性だったという結果が出ました。この事実を公表することで、無意識のバイアスに気づかせるきっかけを作り、話題となりました。
2. Z世代に拡散されるポイント
Z世代に拡散されるためには、単なるインフルエンサーではなく、ブランドとしっかりつながっている人を選び、クラスターが喜ぶ見せ方を考えるのが大切です。例えば、ハーゲンダッツのCMでは、Twiceのサナを起用し、商品画像の後ろにサナがほぼ隠れていておでこ・眉毛くらいしか見えない状態でしたがファンが彼女を「眉毛だけで認識できる」という要素を生かし、隠れているサナを見つけて大喜び。その結果、「一生ハーゲンダッツを買います!」という熱狂的なコメントが相次ぎ、ブランドへの強い愛着を生むことに成功しました。
Z世代に拡散されるためにはインフルエンサーだとクラスターではないのでブランドとしっかりつながっている人を選び、クラスターが喜ぶ見せ方を考えるのが大切です。また、Z世代との接点は、SNSを徹底的に活用して探すのが良いとのことでした。
3. おわりに
アイディアをバズらせるためには、「5W1H」の視点を活用し、適切なタイミング、場所、ターゲット、タイトル、意義、そして新しい手法を取り入れることが鍵となります。
特に、今回の講義で印象的だったのがZ世代との向き合い方です。世代が違えども、近い世代の人に任せるのではなく、Z世代の思考を理解しとことん考えるのが大事だと思いました。Z世代に限らず、新しい世代、もの、ことは常に変化していくので臆することなく、その世界を楽しめるようにしていきたいと思っています。
