IPKの、アートディレクター養成講座レポート - 第二十三回目
徳田氏が語る、「メッセージをデザインする」—広告の本質とコミュニケーションデザインの重要性
※本記事のタイトルはブログの内容からSTORYAIの機能でタイトルをつけました。
受講日:02月18日
講師:徳田佑樹氏
株式会社TBWA\HAKUHODO
アートディレクター
過去実績・経歴
カンヌデザイン部門ゴールド
東京ADC
ニューヨークADCゴールド
ACCグランプリ
クリエイターオブザイヤーメダリスト
講義の内容
1. 広告のアートディレクターとは2. コミュニケーションデザイナーの役割
3. アイデアとメッセージ
4. 若いクリエイターへのエール
▼ 1. 広告のアートディレクターとは
徳田佑樹氏は多摩美術大学を卒業後に株式会社TBWA\HAKUHODOで広告を中心にグラフィック、CM、パッケージ、イベントなど様々な領域に従事し、その後2023年に株式会社TOKUを設立しました。彼の信条は「メッセージをデザインする」ことであり、単なる見た目のデザインではなく「本質的なコミュニケーション」を重視する点が特徴です。広告において、従来のアートディレクターはビジュアル面の責任者とされてきましたが、現在ではそれだけでは通用しないと徳田氏は指摘しました。近年のデザインは飽和状態にあり、単なる「かっこよさ」だけでは差別化が困難になってきています。そのため、広告のアートディレクションには「コミュニケーションデザイン」という視点がより大切になってきました。広告は基本的に人々にとって「邪魔な存在」ですが、それを「好き」に変えることこそがアートディレクターの役割の大切な側面であると事を語りました。
▼ 2. コミュニケーションデザイナーの役割
次に、広告における「人格」作りが重要であると強調しました。広告は一瞬で人々に印象を与える必要があり、その商品やサービスが伝えたいメッセージを正確にデザインしなければいけません。そのためには、単に「かっこいい」「かわいい」といった表層的なイメージではなく「感じてほしい印象」を的確に伝えることが大切です。例えば「わかる人にわかればいい」という考え方は、広告においては適していません。広告の最も重要な役割は「わかりやすさ」にあり、伝わらなければ意味がありません。トンマナを守るだけでは面白みに欠けるため、デザイナーは言葉を使い、メッセージを考えながらクリエイティブを作る必要があります。徳田氏はこれまでに「やっちゃえ日産」「JINS」「ユニクロ」などの大手ブランドの広告を手がけ、それぞれの商品が持つ「顔つき」を意識してデザインしてきました。特に、マクドナルドの「三角チョコパイ」キャンペーンでは秋の訪れを感じさせる広告展開を行い、継続的なブランディングの重要性を語りました。
▼ 3. アイデアとメッセージ
また徳田氏は、デザイナーは「アイデア病」に陥ってはいけない事を強調しました。単に新しいアイデアを生み出すことが目的ではなく、心を動かし、記憶に残るメッセージを伝えることが大切です。アイデアはメッセージを届けるための「飛距離」を生んでくれますが、そのメッセージが届かなければ意味を持たない。広告とは、単に視覚的なインパクトを追求するものではなく、「こんな世の中だったらいいな」という視点を持つことが大切です。そのため、デザイナーは世の中を見るだけでなく、身近な人々の視点に立つことが求められる。例えば徳田氏の手がけた「注文を間違える料理店」プロジェクトでは「間違えることを前提とする」ことで新たな価値を生み出し、社会にポジティブな影響を与えた。広告を通じて社会を変えることができるという信念が自身の仕事に大きく表れている事を講義を聞いていて感じました。
▼ 4. 若いクリエイターへのエール
最後に、若いクリエイターに向けてメッセージを送っていただきました。刺さる広告やクリエイティブを制作するためには、「アウトプットの量」と「それを評価された数」が重要です。知識を得る事と実際に制作することの間には大きな溝があり、経験を積むことでしか埋めることはできません。クリエイティブの世界では一回うまく行ったからと言っても次も成功するとは限りませんが、挑戦し続けることで自信につながるきっかけになります。徳田氏の中では「考えていることを話す」こともアウトプットの一つであり、周囲と積極的にコミュニケーションを取ることが成長につながると語りました。アートディレクションの仕事は一人で完結するものではなく、チームとの対話を通じて磨かれていく。広告は見た目を整えるだけでなく正しいメッセージを正しく伝えることが最も重要であり、そのためには「クラフト力」を磨くことも不可欠であると強調しました。この講義を通して、クライアントの密接なコミュニケーションや「画のデザイン」ではなく「伝えるのデザイン」がデザイナーの本質である事を改めて気づくきっかけになりました。
