クリエイティブディレクション講座 6回目
「Catalyst Methodology」
講師:松井 美樹氏
博報堂 執行役員
▼経歴
博報堂でキャリアをスタートさせ、JINROの広告などで受賞多数。カンヌ審査員を経て、TBWA\HAKUHODO CCOを務める。2016年博報堂復帰、2021年からクリエイティブ担当の執行役員。
▼講義の内容
1.どうして今カタリストか? 2. カタリストの、3つのたくらみ 3. カタリストが生まれやすい場所 4. 最後に
松井氏は、カタリストは触媒という意味であるが、時代が変化していく中で「“変化の兆しに触媒をかける”存在になれるか?」ということがクリエイティブディレクションにおいて重要であると説きました。
1.どうして今カタリストか?
1927年、アメリカテキサスでサウスランド・アイスカンパニーとして創立した会社は……
言わずと知れたコンビニエンスストアのセブンイレブンです。
電気冷蔵庫がない時代からの氷の販売⇒電気冷蔵庫の販売⇒7時~11時営業で食料品などが買えるセブンイレブンの流れは生活者のニーズに応える「触媒」となるアイディアがあり、成長を生む原動力となりました。
クリエイティブディレクターの使命は、「なぜこの企画をするのか」を問い、変化の触媒としての役割を果たすこと。解決してしまった古い問題に固執せず、自分たちのアセットで解決して新しいアイディアで社会や企業に変革をもたらすことが、今こそ求められています。
2.カタリストの3つのたくらみ
クリエイティブディレクター(CD)の仕事は、企業やブランドに中長期的な「よい変化」を生むこと。そのためには、慣習や固定観念を壊し、大胆なアイディアで新しい未来を描くことが必要です。
変化の第一歩は、「何を壊すべきか?」 「何と決別するべきか?」を問い直すことです。
例えば、JINROは「焼酎=焼肉のお供」 「地味で古臭い」という固定観念を壊し、「自由で楽しく飲めるお酒」として新しい価値を提案しました。ウィスキーのランクがステータスだったお酒のヒエラルキー志向もバブルと共に崩壊し、新しい需要を取り込みました。
「○○が今どきのトレンドなのに、なぜ○○はまだ固定観念のままなのか?」
この問いが、変化を生み出すヒントになり、この考えは常に持って行きたいものだと思いました。
ただ、実務では「Before⇒After」を明確に描けないケースも多いですが、そんなときこそ、ちょっとしたアイディアや視点の転換が変化を生むカギになります。
大阪府枚方市の遊園地「ひらかたパーク」は、地元出身の岡田准一さんを起用し、彼の元担任の出演など地元愛を強調する企画でV字回復を達成。シンプルなアイディアが、地元住民との絆を強め、話題を呼びました。
3.カタリストの生まれやすい場所
これからの時代、CDは単独で活躍する存在ではなく、さまざまな領域にまたがる「ユニット」としての力が求められます。クライアントやコンサル、UXデザイン、テクニカルディレクション、そしてエージェンシー。これらの領域を横断し、連携することで、変化を生み出す力が一層強化されるのです。
今、企業に必要な2つの戦略は「限られた市場でのシェア争い」「新しい成長領域の創出」ですが、CDユニットは、企業の中核に入り込み、経営者目線で変化を生み出す存在になり、新たな成長を共に描くパートナーシップが求められています。
4.最後に
変化の兆しに触媒をかけることでブランドや事業に成長可能性を生んでいく、そのために固定概念に囚われず、課題の深層の部分を探っていくように日々考えていきたいと思いました。固定概念を囚われないTIPSとして「異物を入れる」「違う人の目線をいれる」とアドバイス頂きました。違うと判断するのではなく、新たな発見ととらえていければより思考が広がりそうです。
