こんにちは、IPKです。
11月26日開催の17回目 アートディレクター養成講座のレポートです。
Theme
デザインで「ビジョン」を作る
講師:丹野 英之氏
博報堂シニアクリエイティブディレクター
POOL DESIGN inc. 代表
過去実績
- 立川の街作り「Green Springs」
- 京都の複合商業施設「GOOD NATURE STATION」
- ハロウィーン マナー啓発 「渋谷は、ハロウィンをお休みします。」
- TOYOTA Yaris CMディレクション 「Yaris&Go」
講義の内容
- デザインで「ビジョン」を作る
- 案件を通しての、ディレクションの紹介
- 広告の「昔」と「今」の違い・変化
今回の講師は丹野英之氏です。HAKUHODO DESIGNを経てPOOL inc.に参加し、これまでにCI・VI、広告、パッケージ、プロダクトデザイン、商品開発をはじめ、ホテルや商業施設、街づくりの戦略プランニングにも携わってきました。また、東京ADC賞、ACC賞、朝日広告賞、アドフェスト、クリオ賞など、国内外で数々の受賞歴を持つ第一線のアートディレクターとして活躍されています。
講義の題材は「デザインでビジョンを作る」でした。丹野氏は、ビジョンとは行動の指針であり、それを作ることがブランディングにつながると説明しました。たとえば、一匹の豚に対して「言葉を話す豚」や「時速60キロで走る豚」といった特性を付加することで、人々の感情を動かし、差別化を図ることができます。その結果、組織全体がその方向に向かう「モチベーション」が生まれると述べています。具体的には、「言葉を話す豚」であれば「会話したい」「会話してほしい」といった感情が動き、「時速60キロの豚」であれば「どうやって走るのか」「速く走るためにはどうすればいいのか」という議論やアイデアが生まれるように、明確なビジョンが組織の行動を促進するのです。このようにして、ビジョンが行動の指針を与え、結果として独自性や社会的価値を生むブランディングにつながると、丹野氏は冒頭で述べていました。
案件のディレクション紹介では、「クライアントとのオリエン」から「与件整理」、「リサーチと視察」、「コンセプト立案」、そして「デザイン案A/B/C」まで、各段階を丁寧にご説明いただきました。特に「THE THOUSAND TOKYO」のプロジェクトでは、トータルコンセプト「京都の緩やかな知恵に触れる」を基にした新ホテルロゴの決定案や没案を実際に見ることができました。それぞれ異なる視点で作られており、一つの題材からこれほど多くの答えを導き出せることに驚かされました。
また、案件に関わる際、通常クライアントとのオリエンはプランナーが主に対応しますが、丹野氏は必ず自身も参加するそうです。これは、「オリエンの中に答えがある」という信念に基づくもので、クライアントとの対話を通じてインサイトや悩みを引き出し、その本質を理解することが重要だと強調されていました。そして、その本質を踏まえた上で、デザインを通じて納得のいく答えをアウトプットすることが求められると語っていました。
さらに、丹野氏は「デザインは言葉で握る」ことの重要性についても触れています。デザイナーはビジュアル化の専門家であるだけでなく、自らのアイデアやデザインを適切に伝える「言葉のプロ」でなければならないというメッセージです。たとえ複数のデザイン案を提案したとしても、多くの関係者が関与する中で全員に受け入れられる案は少ないものです。そうした状況で重要なのは、デザイン案に基づく「ビジョン」やストーリーを明確に説明する言語化の力であると丹野氏は語っていました。
アートディレクター養成講座も17回目を迎え、折り返し地点に差し掛かりました。この段階で感じるのは、表現力と同様に「言葉で理解する力」を持つ方々が、アートディレクターとして第一線で活躍しているという印象です。また、視点や発想を柔軟に変える力も重要です。見たままをそのまま伝えるのではなく、誰の視点で、どのように見るかによって、共感度や心の動き方は大きく変わります。例えば、「ただの豚」ではなく、「どのような豚か」を具体的に考えることで、モチベーションや共感が生まれるという冒頭の例は、ブランディングにおける差別化の重要性を示していました。これらの気づきは、日々の私生活の中での意識の違いが新しい発想につながることを教えてくれます。今後は日常の中で視点を変え、観察力を養うことを意識していきたいと感じました。
