クリエイティブディレクション講座 9回目 2月13日
「巻き込むクリエイティブ」
皆川 壮一郎 氏
株式会社みんな
クリエイティブディレクター
1978年生まれ。営業職やマーケティング職を経て、35歳からクリエイティブの道へ。現在はクリエイティブディレクターとして活動。SNSを活用しながら企画のヒントを得るのが日課。
折り込みチラシの作成を経て、35歳からクリエイティブを目指す。
講義の内容
- 1. 皆川氏の強み
2. 事例①「まもってトート」はどう広まり、定着していったのか?
3. 事例②清潔さをデザインする「VIBTEX」──抗ウイルス素材の新たな価値とは?
4. 事例③ 嵐「夢だけ持ったっていいでしょ?」プロジェクト
5. 最後に
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▼ 1. 皆川氏の強み
営業職を経て、35歳からクリエイティブの世界に飛び込んだ皆川氏。自身の強みとして 「巻き込み力」 と 「突破力」 を挙げます。
「クリエイティブの仕事は、単にアイデアを形にするだけではなく、得意先や生活者の間に立ち、両者をつなぐこと」と語る皆川氏。相手の視点に立ち、共感しながらアイデアを生み出すことを大切にしています。
「みんなを巻き込む」とは、ただ説得するのではなく、相手に“憑依”するように、その立場で考え、動くこと。 その姿勢が、周囲の人々を本気にさせ、プロジェクトを前へと推し進める原動力になっているのです。
確かに、相手の立場になって考察をとことん深めると、見えてくるものが大きく変わります。ビジネスの基本ですが、なかなかやり切れていないシーンもあるなとドキリとしながら聞いておりました。
▼ 2. 事例①「まもってトート」はどう広まり、定着していったのか?
ホンダが「子どもを守る仕事をしたい」という想いから生まれた、肩にかけるおまわりさん 「まもってトート」。特に「魔の7歳児」と呼ばれる、小学1年生が夕方に交通事故に遭いやすい問題に着目し、反射材をつけたおまわりさんの制服モチーフのトートバッグという形で安全対策を提案しました。
このアプローチが多くの共感を呼び、全国の百貨店での販売につながったほか、群馬県高崎市では小学1年生全員に配布されることに。さらに、乗り物雑誌の付録やバッグ専門ブランドのハイスペック版、ヨーロッパ版といった別注モデルも展開され、驚くほどのスピードで広がっていきました。
コロナが明け、人々が行動的になることで事故が増えそうなタイミングで、社会に受け入れられた『まもってトート』。どのように広め、定着させていくか、そのディレクションこそが、プロジェクトの大きな鍵となっています。
▼ 3. 事例② 清潔さをデザインする「VIBTEX」──抗ウイルス素材の新たな価値とは?
抗ウイルス素材を使用したテキスタイルブランド 「VIBTEX」 は、単なる機能性だけでなく、アティチュード(姿勢・価値観)で差別化することを意識しています。
ブランドの象徴として、清潔感を強調するため、白のみの展開を採用。また、「男性はコロナ禍でもハンカチを持つ人が少ない」というデータに基づき、全アイテムにハンカチを付属させる工夫も加えました。これらの戦略はすべて、テキスタイルのPRのために考え抜かれたものです。
さらに、営業ツールの改善を図り、多くのアパレルブランドへの展開を実現。CMには、コロナ禍で活動が制限されたアーティストを起用し、同じく厳しい状況にあったアパレル業界との共感を生み出しました。
また、接客業や病院向けのユニフォームにもこの技術を活用し、感染リスクの高い現場にも貢献。どれだけ多くの人を巻き込み、この価値を広げられるかが、ブランドのさらなる成長の鍵となっています。
VIBTEX – Virus Blocking Textile
▼ 4. 事例③ 嵐「夢だけ持ったっていいでしょ?」プロジェクト
コロナ禍で停滞する日本に、「夢を持つことを忘れないでほしい」という想いから始まった 「HELLO NEW DREAM. PROJECT」。このプロジェクトは、様々な形で人々の夢を応援する取り組みとして展開されました。
嵐のデビュー曲は「夢」をテーマにした楽曲。これをもとに企画を立案し、嵐にプレゼンしたところ、大絶賛を受けました。しかし、多忙なスケジュールや厳しい肖像権の問題がある中で、「歌詞だけで勝負する」という大胆な決断を下します。
その結果、街頭広告やパッケージに歌詞を印刷する施策を展開。さらに、嵐の楽曲440曲をディープラーニングし、自分の夢を入力すると、それに合った歌詞を嵐が歌ってくれるアプリを開発。結果として 100万個の夢 が集まり、「〇〇になりたい」「××に行きたい」といった多くの願いが寄せられました。
「この集まった夢を嵐の中だけで留めておくのはもったいない」との考えから、「夢の報告会」を実施。このプロジェクトに賛同する企業を巻き込みながら進めていきました。
スポンサー企業へのアプローチでは、「夢(ビジョン)がない企業は存在しないはず。嵐と一緒に夢を持つ同志として盛り上げませんか?」と提案。社長たちは夢を語り出すと止まらず、結果として異例の13スポンサーによるCM放映が実現しました。さらに、オリンピック中止で空いた商品棚を活用し、「夢パッケージ」商品の売上は総額50億円以上 に達しました。
HELLO NEW DREAM. PROJECT 夢の報告会2020
CD、スポンサー、流通、生活者、嵐、代理店などが一体となったこのプロジェクトは、まさに『夢の共同体』でした。一人では難しくても、周りを活かしながら自分を活かすことで、大きなムーブメントを生み出すことができる──そんなことを改めて実感させるプロジェクトとなりました。
冒頭にあった皆川氏の強みである「巻き込み力」が多く発揮されているプロジェクトだと思いました。
▼ 5. 最後に
講義の最後に皆川氏は「仕事を分散させることで、クリエイティブディレクター(CD)はより多様なプロジェクトに携わることができる。関わる人が増えれば、それだけ新しい視点やアイデアも生まれ、仕事の幅も広がるでしょう。」と述べました。
自ら積極的に動いていろんな人に連絡を取って、新しいつながりを作る。日々これらを意識することによって新しい視点が生まれ、よりよいクリエイティブな仕事ができるようになるのは納得でした。人と接する中で、新たなアイデアのヒントが生まれることは多いですよね。今までの交友関係も大切に、新たな繋がりを広げていきたいと思いました。
